
寒河江幹です。
2016年1月2日 火野正平 とうちゃこ祭り「特別ライブ」の番組にて、名シーンベストテンが紹介されました。
第1位 2014年 春の旅 北海道 当麻町・旭川市 シャタケ山 でした。
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【シャタケ山】当麻町・旭川市
私のこころの風景は、シャタケ山です。
60年前の小学校の頃、冬の行事としてスキー遠足がありました。
当麻小学校から4キロほど離れたシャタケ山まで歩いてスキーで滑ってくる遠足でした。
当時私はスキーを持っておらず、学友たちが楽しくスキー滑りをしているのを見ているだけでした。
マイナス20度近い厳寒の中動かずジーとしているだけでしたので、足の冷たさを通り越していたくなり自然に涙が出て悲惨でしたが、不思議とスキーがほしいとは思わない子でした。
私が生まれた時にはすでに父がなく、母一人で育ててくれた中私が嫁ぐときはたくさんの花嫁道具をそろえてくれたとても優しい母でした。
シャタケ山を見るとあの足の冷たさから母の温かさを感じられてやさしく心が癒される大切なこころの風景なのです。
比布(ぴっぷ)駅を出発。
低い家並みの街中を抜けると田園地帯の中に入りました。
牧草ロールがところどころ点在する青空の中を突っ走ります。
右折して舗装されていない道に入りました。
風が強く吹いています。
新緑がきれいです。
石狩川の橋を渡ります。
正平さんの目はうつろです。
やっと渡り切ったところはもう当麻町でした。
看板地図を見て小学校を探します。
道の反対側に地元の方がいました。
「シャタケ山知っていますか?」
「シャタケ?射的山はあっちです」
当麻小学校に着きました。
下校中の子供たちに訊いてもわかりません。
そこへ女の子が
「たま〜に見ています」
とやってきました。
するとその子のおばあちゃんに当たる方がいたので訊いてみました。
その方も「シャタケ」ではわかりませんでしたが、昔遠足で行った山というとわかりました。
正確には「射的山」で「シャタケ」となまったようでした。
「あの子かわいかったな」
という言葉を残して教えられた道をすすみます。
途中、まっすぐ向かっているとどの山がシャタケ山か不安になりました。
そこへ先ほどの女の子を乗せた車がやってきて、この路の先にある小さい山がそうだと教えてくれました。
シャタケ山に着くと観光庭園になっており比較的多くの人がいました。
おばあさんとその子も待っていてくれました。
「おじちゃんと一緒に山登るか?」
おばあさんに聞きに行きます。
「うん」
おばあちゃんもいいよと頷いています。
「名前は?」
「はつね」
(2017年6月22日放送の「蔵出しスペシャル」では以下の会話が挿入されました)
「はつねが案内してくれたんだから、おじちゃんたち(クルーのこと)何でも買ってくれるぞ。何がいい?
洋服か?靴か?バックか?水か?」
はつねちゃんはクスクス笑うのみです。
庭園の入口でお水を買ってあげました。
「ここ来たことある?」
「ない」
「トイレがないって、オシッコしとこ?」
「大丈夫」
「はつねは何年生?」
「3」
「スキーの遠足ないんだって?」
しばらく山を登ります。
カメラのアングルが下から二人をとらえると親子のようです。
「疲れた」
はつねちゃんが根をあげました。
「おばあちゃんに甘えてばかりいるんやろ」
スタッフが休もうかというと、頑張ると云って足を止めませんでした。
頂上に着きました。
「ほら来た、こんな低いのに景色よか」
はつねちゃんは疲れて座ってしまいました。
「あれは小学校だろう」
頷くだけで
「ああ疲れた」
と返します。
正平さんは景色を見渡し、
「あー線路走っている」
と手紙の地図に書かれた線路を確認しています。
二人はベンチに並んで座って景色を見ています。
はつねはまだ呼吸を整えるために鼻の穴を大きく広げています。
「ヨーイドンとか苦手か?かけっことか?」
「かけっこダメなの」
その一言で正平さんはピンときました。
「ゴメンゴメン」
この子は心臓弁膜症のような病気なのだということを悟りました。
「はつねの家はどこ?」
「あっち」
とその方向を指さします。
落ち着いてきたはつねちゃんは、景色を見て
「田んぼが動いているから」
と云いました。
「あれは“風の足跡”っていうんだ」
「こういう景色見たことなかった」
はつねちゃんも感動してくれて正平さんも安心したようです。
山を下りておばあさんに病気を知らず登ったことを詫び、再びお手紙のポイントに向かいました。
その場所は、シャタケ山が見えるたんぼのあぜ道でした。
草の上に座り再びお手紙を読みました。
2023年5月22日の「蔵出しスペシャル」において、手紙を読んだ後
「あの子の病気、治りますように。根性で治さなあかんよ」とつぶやく正平さんの言葉が付け加えられていました。
*はつねちゃんとの会話のやり取りの空気感が反響を呼びベストテン第1位に選ばれました。
誰しもがはつねちゃんにとってこの風景が後に「こころの風景」になること間違いなしと感じられる場面だったのです。
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「こころ旅」いつも楽しみに見てました。
はつねちゃんの回、忘れられない思い出です。
最近は不覚にも名前を失念しましたが
「正平さんと白い(夏服の)少女の回」と胸の内で一人勝手に名付け、時折思い返していたものです。
正平さん一行の前に不意に現れたはつねちゃんの何とも子供らしい元気な笑顔。
ようやく見つけた「シャタケ山」を二人でゆっくり登る微笑ましい後ろ姿。
ようやく上った山頂のベンチで明かされた彼女の「かけっこダメなの」。
その理由にはっと気づき、身体の事情を知らずに無理させてしまった事を何度も詫びる正平さん。
そこからの展開と情景は、まるで一本の美しい映画を観ている様で、自分には今でも忘れられない回のひとつになっています。
今日、たまたま仕事から帰宅途中の自転車の上でこのエピソードを思い出し、夕空を見上げながら「風のあしあと」と口に出してみました。
悲しいけれど、少しあったかい気持ちになりました。
はつねちゃん、その後元気に大きくなって、現在はエレクトーンなどが好きな女子高生となっておられるとか。おばあちゃんもお元気だそうです。
あの時、番組のラストで正平さんが呟いた「あの子の病気、治りますように」が叶いつつあると信じたい。
正平さんは、今も夕やけ雲の向こうのどこかの町のどこかの道をチャリオと走っているのでしょうか。